リアル_モラハラ結婚FILE①わたしたち結婚しました
キラキラしたものに目を向けていこう。
結婚式
結婚式は大変なものだった。
そこへ至るまでもいろいろあった。
「結婚っていっても籍は入れなくていいんだよね?」
「結婚指輪なんかいらないよね。え、そんなもの欲しいの?」
「結婚祝いのカネ、キミの親戚から集まったぶんをまとめてこっちへ持ってきてって、親父さんに伝えといてよ。」
自覚がないのではなく、Mは選んでそういうことを言うのではないかという疑念もあった。そしてそれはこの期間に確信に変わりつつあった。
Mはまた、自分を興奮させるためのサプライズにも余念がなかった。
結婚式当日の朝は式場の前にバイト先へ寄り、「実は今日オレこれから結婚するんだぜ」宣言をして同僚たちを驚かせることに興じ。
式では、新郎まさかの式中ヘアスタイル・フルチェンジ(新婦はお色直しナシだけどね)をして親戚友人たちをあっと驚かせることに興じ。
結婚式終了後は、ようやく二人きりになった車中でこの発言。
「はぁ~。あぁ~あ。茶番劇おーわり。カラオケでも行く?」
この日の式はふたりのためではなく、完全にM自身のためだけのイベントだったようだ。
その人と。
なぜか。
結婚したのだ。
人生はなんだか皮肉が多い。
では、好きでもない男とわたしは結婚したか?
と問われれば。
それは違う。
自分の欲求をあけすけにさらけだすMにわたしはたしかに惹かれていた。
正直なとこ「うわっなんだこいつホント無理」と思うことの方が多い。
けれど、たしかに自分から与えたいと思って彼に愛情を与え、彼を許してきた。
見返りがなくて落胆するという発想はなかったし、過剰になにか要求することもなかったから。
そう思っていた。
だから
ただ、自分で選んできた道のつづきにいるだけだった。
与えたのか?
差し出したのか?
うばわれたのか?
どうだったのかは、もう遠い過去のこと。
あの日はそれでも十分だと思えていたことだけは確かだった。
希望の種
これからは。
自分や自分のまわりにたくさんあるキラキラしたものに目を向けていこう。
キラキラしたものをつまらないことで汚されないように、しっかり感じていよう。
きっと、わたしたちがあるべきところへ転じていく。
夢と希望とを見失わなければ大丈夫。
わたしたちには赤ちゃんがいる。
なんという愛おしいことだろうか。
たしかに、それははじまりの一日だった。
つづく