NO TITLE DAYS

人生の主人公である自分をとりもどそう

リアル_モラハラ結婚FILE④見えるひと

どうも!
カレー味の食べ物はたいていなんでも大好きですカレーに貴賎なしTOHKOです☆

 
わたしたち引っ越します

大移動の発端は。

Mが従弟から借りたアンプとベースだった。

 

何を思ったかMはバンドに参加すると言う。

楽器経験ゼロだけどやるんだと従弟から借り受けたそれらを家に持ち込んで夜な夜な練習していた。

 

すぐに階下の住人からクレームが入った。

 

とにかく大変な騒動でした。

階下のおばさんと夫との間にわたしが入ったけど、事態は収拾がつかず。

 

それで。

最もストレスのない解決策は。

わたしたちが引っ越すこと。

 


そういうわけで、結婚後に住んでいた家はすぐに出ることに。

新居を決め、若かったので、自分たちの手で引っ越し作業をすることにしました。

 

ところがMは荷物をまとめる気配がない。

一度だけ、手伝ってほしいな~と頼んでみた。すると。

 

「え、オレもう準備終ったし。オレの私物って、テニスバッグ一個分しかねーんだよ。お前は余計な荷物多すぎじゃん。自分でなんとかしな?」

 

たしかに。

Mは結婚後テニスバッグ一個でわたしの部屋へ転がり込んできた。

 

どうやら、テニスバッグ一個分のその荷物で彼は生活できていると思っているらしい。

制汗スプレーと少しの着替えの入ったそれだけで。

 

余計なエネルギー使いたくなかったので、何も言わずに淡々と準備した。

 

 

当日は、Mの後輩男子たちが手伝いに来てくれることになっていた。

男手はありがたかったので、そこだけはMに感謝した。

あとの荷物は全部わたしが箱詰めした。

 


引っ越し当日、朝

Mは異様なテンションで張り切っている。

「さぁーやるぞー!!今日は忙しくなぞっ!!」

 

それからガテン系の兄さん風に頭に白手ぬぐいを巻きたいのだと言い出した。

手ぬぐいはないかと聞いてくる。

昨日全部ダンボールのどこかにしまい込んだよ、そんなの。

すると、また騒ぎ始める。


「白手ぬぐいがないと、オレの引っ越しがはじまらないんだよ!!」

 

コンビニへ行って買ってきてはどうかと提案したが


「もう手伝いの後輩が来ちゃうから、時間ねーんだよ。探せよあるだろ手ぬぐいくらい」

 

ないものはないと答え掃除に戻ろうとしたが。


わたしの態度が気に入らないと言わんばかりに今度は。

Mは手あたり次第、乱暴ダンボールのガムテープをむしりはじめた。

 

せっかくまとめたものをひっくり返されるのも困るので、わたしはあわてて手ぬぐいを探すハメになった。

 

結局、白手ぬぐいはなくて、台所用のベージュの手ぬぐいしか見つからなかった。

でもMはそれで妥協して機嫌をなおしたようだった。

 

 

後輩たちが来てからのMはがらりと外ヅラM'になった。

「その段ボールはね、あっちなんだ。ありがとね。」

まるで全部自分が仕切ってここまでやってきたかのように、テキパキと指示を出しはじめた。

 

わたしへ向け、耳を疑うようなセリフが飛び出す。

「あ、ダメダメ、荷物運びなんかしたらダメだろ。いいんだからさ、急に気を使わなくても。力仕事するために今日コイツら集めたんだし。安着祝い用のお菓子を買いに行って新居へ先に行ってて。ちょっとオレ今ついて行ってあげられないけど。外、暑いかもしれないから、ちゃんと水分補給しろよ。あ、アイスクリームかなんか冷たいもの買って食べて待ってたら?なんかあったらすぐ電話して呼べよ。じゃ、あとでね!」

 

荷物の運び出しをしていた大勢の後輩たちの間から。

「ヒューーーーーッ いやアツイねぇー」

「M先輩もすっかり落ち着いちゃったねぇ。あのM先輩がねぇ~」

なんて声があがる。

 

わたしは、心を檻に入れてぴしゃっと扉を閉じた。

安全のためだ。

 

「おまえらホントうるせぇんだよ。なんかはずかしくなってきたじゃんオレ」

M'の明るい声を遠くに聞いた。

 

無反応でそそくさとその場を立ち去るわたしは、後輩君たちの目にはさぞ愛想のない女であるかのように見えただろう。

 

社会性

Mはよく自分のことを「社会性がある」と表現した。

「誰にも好かれる自信あるよオレ、オレ社会性ある方だし。」と言う。

 

裏表の2面性を「社会性」と思いこんでいる。

だが都合の悪いことを誰かに押しつけなければその「2面」は同時に保てない。

 

そして実際つじつまが合わない。

だからMは芝居をするのだった。

 

 

後輩

M’を見破っている後輩君が一人だけいた。

なぜ彼がMの本性を知っているのかは知らないが、彼はMを日常的にこう呼んだ。

「あの口先だけの卑怯野郎」

シンプルかつ的確だった。

わたしはすぐに、あ、この子にはちゃんと見えてるんだ、と知った。

 

その後輩君は、周りに悪口と受け取られにくいタイミングでよく笑いながらそう言うので、他のみんなはその子流に親しみを表現しているのだと受け取っている様子だった。

後輩が先輩にじゃれてかまってもらうための冗談。

誰もが’そう思っている様子。

 

さりげなく、どうしてMをそう呼ぶのか聞いてみた。

 

「多分みんな全然わかってないんですけど。あいつは、あいつは、あんな風にバイク乗ったりテニスなんかやってたりしてああ見えるけど、でも中身は空っぽですよほんと。ほんっとうに、なんっの意味もない・・・・・・」

 

そこまでを真顔で言うと、あとはおどけきった口調で。

 

「奥さん、離婚したらオレにまず連絡くださいねっ☆ 彼女いないんでっ☆」

 

その後輩君にはそれきり会うことはなかった。

 

でも、わかる人にはわかるんだ。

わたしもわたしの社会性を発揮したい。

ちょとでも油断すると、Mの社会性とやらに巻き込まれて適応しそうになってしまうのだけど、Mに対しては常に疑いの目をもっていていいんだ。

 

 

わたしは自分を大切にしたい。

絶対に染められたくない。

そう思えた。

 

その後輩君の一瞬の登場はわたしにとってその後、十分に支えになった。

 

 

 つづく

chocogumi.hatenablog.com

 

 

 


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